and CURRY

阿部由希奈さんの「僕らがお店をやる理由」

2016年、下北沢に誕生したカレーの惑星。宇宙のように鮮やかな盛り付けやオリジナリティ溢れるスパイス使いが話題を呼び、カレー激戦区の地で瞬く間に人気店になった。そのお店は今年に入り、期間限定で3人のシェフが交代でキッチンに立っている。今回はその中のひとり、and CURRYの阿部由希奈さんにお話を聞いた。多くのカレーファンに愛される彼女のカレーの魅力、そしてカレーへの思いに迫る。

Text&Photo_Eri Hayashi

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2017年の1月から5月までの期間限定で下北沢のカレーの惑星のシェフをされているんですよね。どういった経緯でこちらに来られたんでしょうか?

5月からこちらで働かれる知り合いの方が今インドに行っていて、1月から5月までお店が空いてしまうということで声をかけていただきました。私がいるのは5月のゴールデンウィーク開けくらいまでです。でももしかしたら4月末になっちゃったりするかもしれません。

 

毎週金土日がand CURRYの担当なんですよね。

はい。週末はカレー屋で、それ以外の日はフリーランスでお仕事をしています。会社の人事をやったり、WEBディレクターをやったり。だから今は全然お休みがなくて大変ですがカレーを作るのはとっても楽しいです。

 

会社で働きながらカレー屋さんをやってるんですね!昔からずっとカレーが好きだったんでしょうか?

昔は、カレーはそんなにびっくりされるほど好きではなかったです。カレーに目覚めたのはここ2年くらいですね。割りと最近です。

 

カレーに目覚めたきっかけは何でしょうか?

そうですね、もともとずっと忙しく会社で働いていたんですが、ちょっとゆっくりしたいなと思ってその会社を辞めて、別のところでゆったり働いていたんです。でも私、貧乏性なのか何かしたいな、って思って。その時ちょうどカレーをいろいろ食べ歩いていたのでカレーで何かやろうと。気づいたのが、カレーって一皿で満足できる。それにいろんな味をみんなで分けて食べれるんです。居酒屋より安いんじゃないかと思って、女子会ができるようなお店を紹介するメディアを作ろうと考えました。

 

それで出来たのがand CURRYだったんですね。

はい、まずはand CURRYのFacebookを作りました。はじめはお店紹介をしていたんですが、徐々にレシピも書くようになって。そうしたら、渋谷にある天風というたこ焼き屋の店主さんがそれを見て、そんなにカレーが好きならうちでやってみなよ、と声をかけてくださったんです。一昨年の8月からカレーの惑星に来るまで、月1で間借りカレー屋をしていました。

 

私がはじめてand CURRYを知って、カレーをいただいたのがその月1カレーです。私はInstagramで知ってお伺いしたのですが、毎回本当にたくさんのカレー好きの方たちがいらっしゃっていてとても驚きました。

いちばんの方は私より早くお店に着いているくらいです(笑)はじめは知り合いの方が多かったんですが、徐々にSNSを見て来てくださる方が多くなりました。特にすごく人気のあるカレーインスタグラマーの方がアップして下さってからはとても増えましたね。

 

そうだったんですね。月1カレーの時も、カレーの惑星に来てからも、and CURRYのカレーを写したお写真はよくSNSで目にします。

いつ誰に紹介されても恥ずかしくないように盛り付けは気をつけています。何がこだわりか聞かれたら、はっきりこれというのはないですが、お客さんに出したときに可愛い!とか、わー!って言ってもらえるようにしたいと思っています。あと、以前私が来る前のカレーの惑星の盛り付けに寄せていますね。前の方のときにいらっしゃったお客さんが見たときに違和感のないように。

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味噌キーマカレーや鰹と豆腐のカレーなど独創的なメニューが多くありますが、食材へのこだわりは何かありますか?

できるだけ出処のはっきりしている、国産のものを使うようにしています。あとはあまり高価じゃない身近なもの。この身近な食材がこういう風に使えるんだとか新しいなとか、カレーで再発見してほしいです。あとは日本の食材を取り入れるようにしています。例えば鶏出汁キーマカレーには実は昆布茶が入っているんですよ。

 

そうなんですね!そういえば、たこ焼き屋さんでの月1カレーで鹿とバナナのジビエカレーがありましたよね。あのときand CURRY用に猟師さんに鹿を狩っていただいたとおっしゃっていたのにとても驚きました。

あれは知り合いの、ジビエを使った料理屋さんのオーナーシェフの方に鹿が欲しいんだけどどうすればいい?と相談したところ、ちょうど猟師さんが山に入るみたいだから頼んでみたらどうかと教えていただいて、お願いして狩っていただいたんです。鹿とバナナのジビエカレーはいちばん生みの苦しみがあったカレーですね。バナナはそのオーナーシェフのお家に、ジビエカレーで悩んでいるから一緒に作ろうよとお邪魔したしたときにたまたま見つけて閃きました。私、バナナが苦手で自分の家にはないんです。だから思いつかなくて。入れてみたら、何か足りなくてもうひと押しだったカレーにとても奥深さが出ておいしくって、キタ!と思いました(笑)

 

閃きで生まれたカレーだったんですね。ではお客さんからいちばん人気があったカレーなんでしょうか?

ピスタチオのミートボールカレーかな。カレーの惑星でも何回か、あとは月1カレーや神戸でのイベントでもやって、いちばん作った回数が多いカレーです。ほかでは食べられない味ということで多くの方が来てくださりました。

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先程「ほかでは食べられない味」とおっしゃっていたように個性的なカレーを多作られていますが、こういうカレーを作りたいという思いはありますか?

独創的で、自由なカレーを作りたいです。国などにとらわれない、こういうのもカレーなんだ!っていうカレー。実はカレーごとにコンセプトがあって、例えば鰹と豆腐のカレーは「超簡単、驚き、感動、あ!これもカレー」。今日作ったペッパービーフカレーは「大人っぽいカレー」なんです。

 

確かに自由な発想のカレーですよね。このカレーのスタイルになるまで、影響を受けたカレーはありますか?。

そうですね、渋谷のネパリコさん。ここで食べたダルバートがとてもおいしくって、こんなカレーがあるんだと衝撃を受けました。国によってカレーが違うことはこちらのお店で知りましたね。シェフにレシピなどいろいろ質問して、自分で作って勉強しました。あとはカレー研究家で、出張料理ユニット「東京カリ〜番長」で調理主任を務められている水野仁輔さんのカレー。水野さんの本を読んで、スパイスの使い方を学びました。本に載っているカレーは全部作りましたよ。

スパイスって組み合わせで味が全然違うんです。カレーは作りたい味や色をイメージしてスパイスをいろいろ組み合わせるんですが、これって人事の仕事と同じだなって。キャリアを考える上でなりたい像があってそこにたどり着くまでにいろいろなステップが、とか仕事で言うんですが、カレーと人事って同じや!と気づきました。

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カレーと人事が同じとはとてもおもしろいです。カレーは、昔はそんなに好きではなかったとおっしゃっていましたが今はすっかりカレーの魅力にハマっているように感じます。カレーのどこに惹かれるんでしょうか?

自由さですね。なんでも合う、というかなんとでもなるというか。カレーって世界中で食べられていて、日本人も大好きで、ご当地カレーがあったりと地域活性化にもなっている。私は仕事をする上で「みんなが働く場所を気にせず、自分のやりたいことをやれたら」というテーマを持っているんですが、それには何があったらいいのか、何をやったらいいのかすごく真面目に考えて、閉塞感を持っていたんです。でもカレーだったらさっきの地域活性化もそうだし、女性支援とか子供の食育とかいろんなことができることに気づきました。カレー、万能だな!カレーが解決してくれるな!って。難しく考えていたことも気楽に考えられるようになって、本当にいいコンテンツに出会ったと思います。

 

「なんでも合う」とおっしゃっていましたが、and CURRYという名前はカレーのそういうところから来ているのでしょうか?

そうですね。カレーのどんな食材でも受け入れておいしく進化し続けるところから。何にでも合う、カレーの懐の深さを表現しています。

 

カレーの惑星での営業は5月までとのことですが、ゆくゆくはご自分のお店を持つ予定、また持ちたいという思いはありますか?

持ちたいかどうかはまだわからないです。カレーで子供向けのワークショップをしたい気持ちがあって、でももしお店を持つと自由に動けないからなかなかできないじゃないですか。自分にどういう形態のお店が合っているかはまだ模索中です。

 

では最後に、阿部由希奈さんがカレーを作る理由をお聞かせください。

私のカレーで発見や感動を与えたい。これです。

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初めてand CURRYのカレーを食べたとき、斬新な食材の組み合わせ、なのにまとまった味、美しい盛り付けにとても感動したのを覚えている。そしてそれは今も変わらない。毎週、今日はどんなカレーだろうと思わせてくれるカレー。きっと、これからもっと自由で、おもしろくなって、私たちに驚きや新たな発見を与えてくれることだろう。

 

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「and CURRY」シェフ 阿部由希奈さん

https://andcurry.amebaownd.com/

〒1550031
東京都世田谷区北沢3-34-3
Tel:03-6407-8377
※5月までの期間限定営業。詳しくは店舗ホームページ、SNSでお問い合わせください

■営業時間
11:30 – 15:00、18:00 – 22:00(月 〜 金)
9:00 – 22:00(土日)
※臨時休業日は店舗ホームページ、SNSでご確認ください

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